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なつのひ
2011-04-21 Thu 22:55
DPプチで配布したペーパーです。AG/サトタケ

ホウエンの太陽は燃えるような熱で彼らを照らす。

 ジム戦とコンテストを終えサトシ一行は一時の休息を得る事になり、白い砂浜と青い海のコントラストは海の向こうの国を彷彿とさせる。

「おーい、あんまり深い所に行くなよ~!」
「はーい!タケシも暑くなったらかわってあげるからね!」

 誰もが海へと我先に飛び込んで行く姿を見送ると彼はひとり高く密集する木の影に水が身が手なポケモン達に付き合う事にした。遠目に見える年下の友人達……と恋人は暑さにもへこたれずホウエンの残暑を目一杯楽しんでいる。
――そう、恋人
 黄色いからだと赤いほっぺの相棒と盛大に海へダイブしている彼こそ年下の恋人…自覚とともに顔が赤くなって行くのは太陽のせいにする。
 ふと目が合うと恋人は白い砂浜を素足で蹴ってやってきた。

「暑くないかタケシ、海入ろうぜ!」
 額にかかる濡れた前髪を後へ持って行きながら言うとタケシは笑って答えた
「日影はそんなに暑くないよ、空気が乾燥してるからかな」
「へー」

 言いながらその隣に腰を下ろすと身体に張り付いた水滴が点々と白くなった珊瑚と貝殻の上に落ちる。ウソハチはわざと近付いてくると笑うように声をあげその水滴を避けて遊ぶのだった。
 その姿からふと顔を上げ、海水に濡れた手でタケシの乾いた背中に触れると、びくりと身を縮めたがすぐに肩を落として言った。

「いいな、冷たくて」
「だろ?」

 触れた皮膚は明らかに体温の熱ではなく、照り返す太陽によるものだった。身体に残った水滴とタケシの皮膚よりはずっと冷たい腕で熱を吸い取るように触れていく。いっそ少し冷えたサトシの肌が心地良いものだ。青い海や白い砂浜の照り返しさえもまぶしく、暑い。

 肩だけでなくうなじから背中にかけての肌に至ってはちょっとした火傷のように、張っている。
「タケシあったかいなー。なんか俺、少し冷えたかも。」
「そうだな、水はそろそろ冷たくなってくる頃だからな。」
 この夏も瞬く間に終わることを知ったように、そして誰かに言い訳するように。言って手と手を合わせる少年達に、しかし太陽は依然として彼らの頭上で燦々と照りつけるのだった。
 お互いの素肌を合わせると熱を分け合うことだけではない、触れ合うことの単純な気持ちよさと安心感を、たぶん恋人という名前を手に入れてはじめて知った。

 しばらくの沈黙にひとまわり大きいタケシの背中に自分のそれをあずけたままだったサトシは胸が静かに、そしてはやく鼓動を刻むのに気がついた。
 それを知るとさらに速まっていく。これだけの大きな鼓動ならきっと背中ごしにも届いている。気付かれているだろう、恥ずかしさにぺたりと左頬をタケシの背中に預けると同じように熱い背中を大きな心臓の音が叩くのだった。
 その音に心が奪われ、そう遠くない波打ち際にいるはずの仲間達の声が遠くなる。



「ハルカ、マサトー!俺たち水探してくるからみんなの事見ててくれ!」
「わかったー」
「あまり深い所にいくんじゃないぞ!」
「タケシも気をつけてねー」

 空になった水筒を持ち上げ身体から乾いた砂を払い落す。水源は先ほどヌマクローのレーダーで確認済みだ。そう遠くない。草の薄い道もある。まるで南国のような背の高い木々がそれほど密集しているわけでもなく葉の陰も明るい。

 ふたり無言でしばらく歩き、仲間達の声が完全に消えた頃、どちらともなく指を絡めた。
 握り合った手は汗がにじみそれぞれの思惑が交錯する。

――ふたりきりになりたい

 太陽の下、砂浜の上。火照った耳に囁かれた年上の恋人の言葉。

「タケシ」
 繋いだ手を小さくひっぱられ、自分よりすこし小さな少年に合わせるように背中を丸めると、すかさず少年は小さな音をたてて触れるだけのキスをした。
 見つめ合うと、近付く唇が、潮の香りと少しのしょっぱさに堰を切る、


幼い恋人達は限られたこの夏を永遠まで残すように呼吸をするのだった。
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